インプラント治療のメリット・デメリット

人工の歯根を顎の骨に埋め込むことで本来の歯と変わらない強度の歯をよみがえらせることのできる、インプラント。ネットなどではインプラントの魅力やメリットばかりが強調されているようですが、勿論インプラントにもデメリットが存在します。それでまずはインプラントのメリット・デメリットの両方を把握しておく必要があります。

インプラントのメリット

インプラントのメリットの中でも最大のものは、「残っている健康な歯に負担をかけない」ということかもしれません。ブリッジの場合欠損している歯の両側にある健康な歯を「橋渡し」の土台にするため少しとは言え削らなければなりませんし、部分入れ歯であれば金具で健康な歯に引っ掛けなければなりません。

これ自体健康な歯に負担をかけることになるのですが、実際に噛む際には歯の欠損部分に歯根がないため、どうしても両隣の歯に強い負荷をかけることになってしまいます。

こうして健康な歯を少しずつとは言え傷めつけていくのに対し、インプラントは欠損部分に独立して人工歯を埋め込む治療であるため、他の歯に影響を及ぼす心配がないのです。

また歯根があるということは、それだけ噛む力も強くなるということですから、入れ歯のように食事に苦労する、ということもありません。しっかり咀嚼できるということは顎の骨を強くすることにもなるため、骨が痩せていくのを防げるというメリットもあります。

また、インプラントはブリッジや入れ歯より見た目が良い、審美的なメリットもあります。ブリッジや入れ歯をあくまで保険適用内で作るとすると、部位によっては金属しか使用できず銀歯が目立ってしまいますし、部分入れ歯なら金属のバネが見えてしまいます。一方インプラントであればセラミックなど自然の歯に近い色の素材を使用できるため、見た目の美しさを取り戻せるのです。

インプラントのデメリット

インプラントの最も大きなデメリットは、やはり何といっても「保険が利かない」ということでしょう。つまり全額自己負担ということになり、1本あたり30～50万円ほどかかってしまいます。

この「30～50万円」も相場であって、自由診療となるインプラントは各歯科医院が自由に料金を設定することができるため、どこで治療するかによって費用は大きく異なるでしょう。適切な料金で質の良い治療が受けられるクリニックを探さなければならないという点も、インプラント治療のデメリットといえます。

またインプラントは人工歯根が顎の骨と結合しなければ次の治療に入れないため、治癒期間を必要とします。治療部位や体質的な個人差もありますが、大抵治療完了まで4～6ヶ月はかかると見ておいた方が良いでしょう。ブリッジや入れ歯と比べて治療期間が長くなるため、できるだけ早く歯を入れたい人には向かない治療かもしれません。

更に言えば、インプラントは外科手術となるためそれ自体が患者の負担となりますし、手術中は部分麻酔を使用し、術後は痛み止めや抗生物質を服用しなければならないため、妊婦や授乳中の女性に対してはインプラント治療を施すことができません。その他顎の骨量の少ない人など、治療できない場合もあることも覚えておきましょう。

まとめ

どんな治療にも言えることですが、インプラントにもメリット・デメリットの両者が存在します。比較考慮し、自分にとってはメリットの方が大きいと思えるならインプラント治療に踏み出すと良いでしょう。